EY(安永)より発行された香港の最新税務アラート(Hong Kong Tax Alert)2件を掲載します。
1. 香港、コーポレート・トレジャリー・センター(CTC)向け優遇税制の拡充案に関するコンサルテーション
香港政府は、より多くの多国籍企業グループによる香港でのトレジャリー業務の設置および業務拡大を促進するため、CTC向け優遇税制の拡充案に関するコンサルテーションを開始しました。本提案は、現行制度における長年の課題に対応し、アジアおよび世界のトレジャリー・ハブとしての香港の競争力を一層強化することを目的として、新たな「2段階フレームワーク」の導入を求めています。
- 第1段階(現行税制の見直し・拡充):支払利息の繰延処理の導入、損金算入できる支払利息の範囲拡大、実質的活動要件(専門従業員2名以上、事業運営支出200万香港ドル以上など)および取引定義の明確化を図り、企業の運用の柔軟性を高めます。
- 第2段階(事前承認制度の導入):一定の客観的要件(年間売上高1億香港ドル以上、事業運営支出400万香港ドル以上など)を満たす適格CTCを対象に、現行の「CTC専業要件」や「セーフハーバールール」を廃止します。さらに、受取利息の50%非課税措置や、課税要件・租税回避防止ルールの緩和を実施し、税務上の確実性と利便性を大幅に向上させます。
2. 利益連動型株主貸付金利息の性質・源泉地・発生に関する裁判所判決
上海の不動産開発プロジェクトに関連して提供された株主貸付金を巡り、香港の裁判所は、当該貸付金から生じた収益の性質や課税上の取扱いに関する重要な判決を下しました。
- 事件の背景:納税者側は、投資契約上の制約や実質的なプロジェクトへの出資性を根拠に、収益は「利息」ではなく配当に類似する非課税の国外源泉投資収益であると主張し、さらに直ちに行使可能な請求権がないことから所得は「発生していない」と反論していました。
- 判決内容:裁判所は、明確な契約条項において利息として規定されている性質を覆すには至らないとし、税務上訴委員会の判断を支持して納税者の上訴を棄却しました。また、支払いが将来のプロジェクトの収益性に条件付けられていたとしても、直ちに行使可能な請求権の有無によって所得の「発生(accrual)」が妨げられるわけではないという見解が示されました。本件は、形式と実質の関係や利益連動型リターンの課税上の取扱いに関して重要な実務上の示唆を与えています。
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