Bird & Bird法律事務所が、2025年5月23日に施行された香港の「会社法(改正)(第2号)条例」に基づく本拠地移転制度の概要をまとめましたので、下記要約と、日本語版のフルレポートをこちらから、英語版をこちらからご覧ください。
概要:
制度の目的と背景
· 香港は国際金融・ビジネスハブとしての地位を強化するため、非香港法人が香港に本拠地を移転できる制度を導入。
· この制度により、企業は法的アイデンティティと事業の継続性を維持しつつ、複雑な清算手続きなしで移転可能。
· オフショア地域の規制強化により、香港への移転はアジア太平洋地域の企業にとって魅力的な選択肢となっている
適格要件
移転を希望する非香港法人は以下の条件を満たす必要がある
· 会社の種類:香港の会社類型(私営・公の有限会社または無限会社)と同等。
· 原籍地の制度:原籍地が対外的な本拠地移転を認めていること(例:ケイマン諸島、英領ヴァージン諸島)。
· 構成員の同意:75%以上の同意が必要。
· 債権者保護:誠実な申請であること。
· 財務健全性:12ヶ月以内の債務を支払える能力があること。
· 違法目的でないこと:公共の利益に反しないこと。
申請プロセス
· 「ワンストップ・アプローチ」により、会社登記と事業登録を同時に申請可能。
· 通常、申請から約2週間で承認され、本拠地移転証明書と事業登録証明書が発行される。
· 移転後120日以内に原籍地での登記抹消証明を提出しなければならない
法的・規制上の影響
· 移転後は香港で設立された会社とみなされ、会社の契約・財産・法的手続きは継続。
· 銀行・保険業などの規制業種は、事前に香港の監督機関の承認が必要。
税務上の影響
· 香港での事業から生じた利益には、法人格に関係なく香港の利益税が課される。
· 二重課税防止のため、外国税の単独控除制度が導入されている。
· 本拠地移転自体には印紙税は課されないが、移転後の株式譲渡には課税される
結論と推奨事項
· 本拠地移転は企業にとって戦略的な選択肢だが、法的・税務的な専門家の助言が不可欠。
· 移転を検討する企業は、早期にフィージビリティ評価と準備を行うことが推奨される。
ご質問は日本グループビジネスディベロップメント部部長、音琴涼子(ryoko.nekoto@twobirds.com)までご連絡ください。
詳しくは日本語版、英語版からご確認ください。